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WOWK芝公園

WOWK Shibakoen

所在地:東京都港区
用途:事務所
設計・監理:柿木佑介+廣岡周平/PERSIMMON HILLS architects
施工:加和太建設株式会社
構造:坪井宏嗣構造設計事務所
設備:ZO設計室
照明:杉尾篤照明設計事務所
構造:鉄骨造
階数:地上8階
高さ:最高高さ 24.72m、軒高 23.29m
敷地面積:77.44㎡
建築面積・建蔽率:57.47㎡(74.22%)
延床面積・容積率:342.05㎡(386.08%)
各階床面積:1階 52.65㎡、2階 48.17㎡、3階 41.53㎡、4階 38.21㎡、5階 38.98㎡、6階 40.09㎡、7階 42.01㎡、8階 40.41㎡
設計期間:2019年11月~2021年6月
工事期間:2021年6月~2022年3月
竣工年月:2022年3月
写真:田中克昌

東京・芝公園のペンシルビルの計画です。
2階から8階までの各フロアが賃貸事務所となっています。

オフィスビルはどこも同じように大人数が効率的に機械的な労働を行うための基準階がスタックされ、それが都市の風景をつくってきました。しかし、そのような労働のための均質空間は、もはや現代社会にはフィットしないものになっています。

IT化が進んだことによって小さな組織や個人でも大きな仕事ができるようになり、また、組織自体の在り方も変化して個の自由な振る舞いが可能となってきています。複数の小さな組織や個人が集まり、能動的に働き、交流できる場所が必要であり、それによって都市の新しい風景をつくっていくべきではないでしょうか。

狭小敷地で計画をするとどうしても、縦動線(エレベーター+避難階段)や共用部をコンパクトにまとめて、出来る限り広くプレーンなフロアを確保するために苦心することになります。その結果、ファサードデザインという表層的な部分の操作のみになりがちです。内部空間は均質で固有性のない基準階フロアの積層になってしまいます。

そして従来通り、最寄駅がどこか、またそこからの距離、専有面積の広さ、階、といった定量化できる条件から価値が決まってしまいます。もちろんそれらも大事なことではあるのですが、小さな組織や個人による利用が想定されるペンシルビルにおいては特に、定量化できない部分からくる価値、つまり、そこで働きたい、そこに居たい、といった願望を喚起するような、選択の幅が広がるような仕掛けが必要ではないでしょうか。

敷地は、幹線道路沿いの中高層ビル群(皮)と、それに囲まれた低層木造建築物に占められた街区(餡子)との境目付近に位置しています。
餡子には職住一体形式の建物が多く残っていて、比較的幅の狭い道沿いに、小さい単位の職の場が並んでおり、細い路地のネットワークが息づいています。

本計画では、敷地境界からオフセットした単純なラーメンフレームのまわりに、奥にできるだけコンパクトにまとめられがちな避難階段をまとわりつかせて、各階で着床する位置、エントランスの位置を変えています。その余白を狙ってボリュームを付け足していき、狭小ながらも基準階を壊していきました。天空率を納めるようにボリュームを斜めにしたり、開口の大きさや位置を調整したり、素材を切り替えたりすることで各階にキャラクターをつけています。

敷地周辺の小さな単位の職の場、路地空間のネットワークといった魅力的な都市構造を立体化して新たな働く場所をつくることによって、古い風景と新しい風景を繋いでいけるのではないかと考えています。

各フロアではメインフレーム(ホール)とそこから飛び出るサブフレーム(ブース)によって開かれた場所と閉じこもって集中する場所をつくっています。さらに避難階段やバルコニー、屋上などの屋外・半屋外空間に人が寄り付くきっかけを散りばめて積極的に居場所化しています。

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